川の流れのように
町の景色がどんどん変わっていくタイ。
新しい店がどんどんできて、今まであった店がどんどん消えていく。
バンコクに住むうちにそんな光景を目の当たりにした。
個人経営で、資本が少なく、儲からないとわかればさっさと閉じる。潔い。
バンコク空港近くのアパートに住んでいたが、居住者には空港関係の人も多かった。しかし、そのアパートですら例外ではなく、住人は数ヶ月おきに入れ替わっていった。
廊下ですれ違うとほとんどの人が不安そうな暗い顔をしていた。たぶん、雇用不安が大きいのではないか。そんな気がした。
それに、聞くところによると、タイ人は、ちょっとでも給料が良いとさっと他の職場や職種に移っていくという。これも流動性の高さを上げているのだろう。
タイもすごい格差社会で、持てる者は繁栄し、多くの国民はぎりぎりの生活をしている。奴隷社会と成り果てた今の日本もすごいが、その日本に輪をかけた状態だ。少しでも給料が良ければすぐにやめて移っていく。わからないでもない。
さて、アパートができて、たぶんぼくが住居人第二号だったはずだが、数年住むうちに主になった。
タイ航空に勤めていた第一号さんも、コロナで職を失い、転居していった。諸行無常なり。
そのぼくも、以前そこの施設管理をしていたビルマ人がコロナで里帰りした後にやってきた流れ者の横暴に耐えかねて一年前に退去した。ロークラスのタイ人は意外に野蛮で粗野であることを肌で知った。
893もんの世界はあんな風なのかもしれない。最近、ガーシーに注目して観察しているが、彼と彼のまわりの人間の言動がそんな感じ。
ただ、数年間でも掃除が行き届いたキレイな環境に、静かに暮らせたのはラッキーだった。
乾期のバンコクは住むに耐えられないほどの大気汚染である。一年中バンコクにいるわけではなかったので我慢して住んでいたが、コロナで失業して、どこにもいけなかったので一年ほど前にホアヒンに移った。
移ったのは良かったが、程度の差こそあれ、ここもパタヤやバンコク方面から流れてくる汚染大気のせいで、乾期中の空気は本当に汚れている。匂いや吸った時のいがらっぽさでわかる。
タイの北部、中部(バンコク)あたりは1970年代の公害真っ盛りの日本のようである。致し方ない。
話を戻す。
ここホアヒンでも、どちらかといえば端っこに住んでいる。閑散としている端っこが好きなのかも。
人の活動が極端に抑えられたコロナ最終盤だったここ1年でも、このアパートのあたりもどんどん店が潰れ、また新しい店舗を作りつつある。
このあたりに店舗を出す上での問題点は、顧客になる人口が少ないので、店を出しても儲からないのである。1週間ぐらい借りる店舗の前に張り付いて、人の交通量を測れば明らかなことなのだが、そんなことをする殊勝なタイ人はいない。
結局、タイは、所得があまりに低いのが根底の問題なのだろう。
考えれば、これまで安定的に成長を続けられた日本にいられたのもラッキーだったのだ。
それがコロナによってさらに悪化した。
外国人観光客に大きく依存していたため、人流を止められ、タイ観光業は干上がった。
日本もそうだ。知り合いの宿のオーナーはここ数年イケイケどんどんだったが、コロナで倒産してしまった。最後はかわいそうだった。
まとまりのない話になってしまった。🙇
◼️