白人は世渡り上手
たまに早朝散歩ですれ違う白人がいる。
彼を見ていると、とても勉強になる。
何がかというと、この地域の社会にうまく溶け込もうとしている様子が見られるから。
どういうことかというと…
① まず、ぼくの住んでいる地域は町でもはずれの方で住んでいる人が少ないのだが、バイタク(バイクの後ろに人を乗せて短い距離を走るサービス)の停留所がある。いつも数人のドライバーが客を待っている。
不景気なせいもあってか、そこにはいつも異様な重たい空気が流れている。
恐ろしいので近寄らないようにしている。
ところが彼の場合は、通りすぎるときにニコニコとして、挨拶をするのだ。びっくし。すると、タイ人たちも何となく気を許して挨拶を返すのだ。
つまり白人の彼はムードメーカーでもあるのだ。
そういうムードを作って自分に危険が迫らないように護身にもなる。
ちょっと合気道に似ている。柔和で決して敵を作らなかった植芝盛平を思い出させる。
② アパート近くにはお寺やその周辺に野犬がたむろしている。たぶん、お寺で餌をもらってネグラにしているのだろう。
その辺りには何回通っても決して慣れることなく、吠えてくる犬がいる。一匹が吠えはじめるとまわりの犬も一緒になって吠えはじめるから手に負えない。そのいつも吠えてくる犬は顔中傷だらけで喧嘩早い性格なのだろう。
保健所が野犬を駆除しないタイでは、犬に噛まれるなんてデフォ。ニュースでは年間100万人も犠牲者がでるという。(これは数字がキリが良すぎて盛っている可能性があるニュースだが。)
100万人は嘘でも犠牲者が多いのは事実だろう。
このあたりを早朝散歩する外人もタイ人もみんな1m以上の長さの細い棒を片手に歩いている。こちらに引っ越してきて朝吠えられて、犬からの護身用の棒であるとわかった。
さて、くだんのムード・メーカーの白人はどうしているかというとビニール袋にソーセージを入れて歩いている。(笑)
そして彼が通る道沿いにいる犬たちに少しずつお裾分けしているのだ。つまり餌付け。
毎日餌をやるとたぶん1ヶ月1000バーツはかかると思う。でも、それは彼にとっては犬に噛みつかれるという障害をカバーしてくれる生命保険代金なのだろう。
実際、ぼくにいつも吠えかかる黒犬も彼には尻尾をふっていた。現金なもんだ。(笑)
犬にもちゃんと気を使う白人。異文化社会にどう溶け込んでいくか知悉した、世渡り上手だ。参考になるな〜。
(写真は餌付けのイメージです)
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